2007年12月3日月曜日

続・続・ウェブ時代をゆく

ええと、ゴールデンスランバーのおかげでこのブログのセッション数が平日の2倍、PV(ページビュー)ベースでは3倍の記録を更新いたしました
エントリ読んで下さった方々と、伊坂さんに感謝です。

で、本日も書評。梅田望夫『ウェブ時代をゆく』(2007年、ちくま新書)の完結編といきます。第一弾第二弾


書評映画評ばっかじゃ「法律」でも「学徒」でも「手記」でもないじゃねえか、というご意見もごもっともではあるものの、しかし「手記」という言葉を使っているのは音の流れがいいからであって書かれる内容について何ら限定をする意図はないし、一応「法律学徒」的な観点からモノを見ているところも結構あると思うので、その点はご容赦いただきたいのであります。

閑話休題で今回のテーマは「(「ウェブ時代」において)そして僕はどうしたらいいんだろうね」。
つまり、梅田氏の描く「ウェブ時代」というのが本格的に来たとしたらもう来ていると言った方が正しいか)、ウェブ時代の到来と時を同じくして社会に出ることになる僕ら大学生は、はてどうしたらいいんだろうね、という話。
理系、特にウェブ上で知的共同体でも運営して成果が得られるような学問分野(典型的には、本書で挙げられているように、プログラミングなど)については、この本で指摘されている、「学習の高速道路」の出現と、その後の「長く険しい道」と「けものみち」への分化が(どの程度かは分からないが)起こることは間違いないであろう。
問題は、それ以外の学問分野、とりわけ文系の学生が、果たしてどのように「ウェブ時代」と関わっていくか、である。
僕は、感想の第二弾で述べたように、「学習の高速道路」がすべての学問分野で敷かれるとは思っていない。むしろ文系分野においてそのような事態が起こることは稀ではないのかとさえ思っている。
そのあたりの理由付けは「続・ウェブ時代をゆく」に譲るとして、このような前提に立つ以上、「学習の高速道路」の先にある「高く険しい道」と「けものみち」との分岐は、「ウェブ時代をゆく」で述べられているような意味においては、無い。
ただ、ここで『「ウェブ時代をゆく」で述べられているような意味においては』という留保をつけたことからも分かるように、全く無いと言い切っているわけでも、ない。
まず、どういう意味で「ない」のかというと(また法学を例とするが)、法学を学ぶ最も効率的な方法は大学教育であるため、法学という学問、およびその延長線上の職業選択については、「高く険しい道」と「けものみち」との分岐はない
しかし、例えば大学で法学を修め、そののちにプログラミングならプログラミングを「学習の高速道路」において習得し、(どのような役に立つのかは未知数だが)「法律も語れるプログラマー」のような、いわば文理融合した「けものみち」へと入りゆく選択肢は、おそらくあるのではないだろうか。
このように捉えるならば、文系の学生にとっても、「学習の高速道路」はあながち無縁ではない。
ただ、文系の学問領域に興味があって文系の学部に入ってきているような学生については、そのような道を選択するメリットも興味関心も無いことが多いだろうし、そもそもそのような人材のニーズがあるのかも微妙であるから、たとえ少々面白そうだとしても、2足以上のわらじをはき、あえて「けものみち」へと入っていく若者はそうはいないだろう。
さらに、特に法学部についてよく言われることなのだが、この学部、卒業後は結構ツブシが効くので、そこまで差異化を図って生き残る必要も、今までならば無かったのである。

じゃあ結局のところ文系と「学習の高速道路」は非親和的なのかというと、やはりそうとも言い切れない。
先ほどは「法律も語れるプログラマー」のように、プログラマーをメインに据えたが、これとは逆に「プログラミングについて語れる法律家」であればどうだろうか。
あくまで法律という「学習の高速道路」には頼れない分野を基軸にすえて、そこに「プログラミング」等、「学習の高速道路」でえられるものをサブとしてつけていくのである。
この場合、彼(彼女)はあくまで「法律家」という一種の「プロフェッショナル」であって、「ゼネラリスト」ではない。
ただ、弁護士になることなどを想定すれば分かるが、昨今は司法制度改革によって弁護士数が非常に増えており、このような「プロフェッショナル中の差異化」であれば、おそらく広く文系にも受け入れられるはずである。実際、法科大学院ではマニアックな授業をやったりしているらしいし。

3回にわたる感想の最後だけにキチっとまとめようと思ったのだが、どうやら力不足だったようである。
まあ要するに「文系で『プロフェッショナル』を名乗れても、競争に勝ち抜くためには『学習の高速道路』による差異化が必要かもね」ぐらいのことが言いたかったに違いない。

食べすぎで眠いのと、あと、明日の朝は早いので、早くお風呂に入って寝ます。では。

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