今月の本・2007/10
久々にこの企画。
先月は色々あって書けなかったため、ここ2か月分のおさらい、ということで。
いつもの通り最新版の出版年数を書いておくので、第何版と言うのはそのあたりからご推測を。
奥田英朗『イン・ザ・プール』(文藝春秋、2006)
実はオダギリジョー出演で映画化もされている(そちらの方が有名なのか?)、イミフでヲタな神経科医が社会の病理を受け流す一作。僕らはみんな病んでいる、病んでいるから笑うんだ。いや、そうでもないか。
高野秀行『アヘン王国潜入記』(集英社文庫、2007)
今話題のミャンマーの、しかも世界最大の麻薬生産地への潜入を綴ったルポルタージュ。世界最大の麻薬生産地と、そこを牛耳る人たちは、以外にも普通だった?!別れの言葉が涙を誘う、笑うに笑えぬ潜入記。
いや、ミャンマーからの留学生って大学に結構いるんじゃなかったっけ?
西垣通『ウェブ社会をどう生きるか』(岩波新書、2007)
リバタリアニズム的なネット感が蔓延し、そこで汚染される人々が増殖する中で、なんとか人間性を取り戻そうとする健気なおじい様の物語、ということでいいでしょうか。
結局言いたいのは「梅田望夫は詐欺師であり『ウェブ進化論』は欺瞞である」ということに尽きてるわけですが、「真の情報学的転回」とか「一神教の呪縛」とか「ハイパー多極分散」とか、トンデモとは言わないまでも、このテの本にありがちなパターン。もう少し的を絞った方がいいのでは。
酒井陸三『ロシアン・ジョーク』(学研新書、2007)
この本の中で紹介されているロシアの現実というのはおそらく本当で、本当ならば驚嘆すべき事柄なのではあるが、作者の文章センスというか「ジョーク本に要求されている文を書く力」は皆無。折角いい題材なのに、なんとなく「イタイ」系。本当はお堅いジャーナリストなのだ、仕方がない。
松井芳郎ほか『国際法』(有斐閣S、2007)
(教科書なので)つまらないですよ、と国際法担当の先生がおっしゃっていたものの、意外とそんなこともない。法学部生の間では国際法はどちらかといえばマイナーな科目だが、実は結構大事なんじゃないかと思ったり。(授業中ほとんど寝てるから埋め合わせのために読んでるなんてとてもかけないよねえ)
大屋雄裕『自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅』(ちくま新書、2007)
ネットでも人気(?)のおおや先生の新刊。現在この本を紛失してしまったので詳しいことは確認できないのだが、「アーキテクチャ」というのの定義をもっとしっかりしとかないと何でもアーキテクチャとなり得たりして困ってしまうんじゃないかなあ。
ちなみにおおや先生のブログはこちら(おおやにき)。
リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社、2005)
こちらのエントリで劇ホメした映画の原作。先月の修行中に暇な時間ができたので一気に読んだ。ハッキリ言ってあれだけ感動した映画版より更に感動。10年ぶりぐらいに本で泣いた。200万部も伊達じゃない。ちなみに僕の持っているのは第28刷。映画版DVDも買わねば。
なんだかヤケに少ない気がするけれど、まあ内田貴『民法II』をガシガシ読んでもいたので、そこまででもないはず。もうすぐ西田典之『刑法各論』も読み始める予定だし。
ちなみに、今日の天声人語の書き出し、「儀式」とかかなり捏造の臭いがするのだが、いかがなもんだろうか。
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