続・チューター
明日、海行ってきます、海。若狭です。1年ぶりです。泳ぎまくってくる予定です。
おばあちゃんに「河童に気をつけるんだよ」と言われたが、河童は海にはいないので大丈夫。
と、いうことで、今日は外国人留学生に対するチューター活動の話。
チューター活動については、以前すこし述べた。
これはつまり、僕の大学に留学してきている外国人留学生に対して、学生がその勉強の補助を行う制度である。つまり、「チューター」を「個人指導者」みたく訳せば意味が取りやすいだろう。
もちろん、何を教えて欲しいかは人によって違っていて、初歩の日本語から法律系文章の英訳まで、仕事のレンジは幅広い(要求の個人差が非常に大きい)。
そして、何を教えるにせよ、向こうは日本語があまり話せない場合が多く、ある程度の英語力が求められる。まあこれについては、一応旧帝大ということもあって、それほど問題にはならない(いや、他に問題があるわけでもないが)。
また、無償ではかわいそうなので、バイト代もそれなりに出る。
というのが一般論であって、具体的に僕が何をしているかというと、モンゴルからの留学生(モンゴルの法曹資格を持っているらしい)に個人情報保護法を教えている。
個人情報保護法=行政法系の特異な一分野=学部では扱わないか、後の方に扱う科目、という図式は、大体の法学部生の思い描けるところであって、そんなんを初学者のお前が教えられるのか、という声が聞こえてきそうである。
実際、分かって教えているのかと聞かれると、いや、読んでみてわかった範囲を分かったつもりの範囲で教えています、としか言いようが無く、しかもそれを英語で、というわけだから、向こうにしてみればなおさら不安であろう。それでもそれなりに進歩が感じられるあたり、結構やりがいはある。
もちろん彼は僕だけに教わっているのではなく(それだったら酷いもんだ)、指導教員は別にいるのであるが、しかし指導教員(たしか准教授)もご自分の仕事があるのであり、そのすき間を埋める形で僕らチューターがいる。
また、チューター活動の関係で、最近『経済産業分野のうち信用分野における個人情報保護ガイドライン』というのの一部を英訳しているのだが、これがサディスティックに激・難しい。
おそらく普通の法令であれば、文章が定型的であることが多いため(例えば、『○○をしたら××の刑に処す』といった刑法なんかはその典型だろう)、まだ訳すのが簡単そう(といってももちろん難しい)だが、こういうガイドラインとか指針とか、あるいは基本方針というものは、普通の法律よりも1文が長く、主語+そこへの修飾語だけで4~5行イってしまうことが多々ある。
訳すのも大変だが、読むのもかなり大変だろう、これは。
(そもそも、日本語をその文構造のまま英語に訳そうという試み自体に無理があるのかもしれない。我が大学で行われている法令英訳プロジェクトの英訳がおそらくそうなっているように、そのままの構造で英訳すことにも、構造の一貫性という観点からは意味がある。しかし、日本語からの直訳では読みやすさが犠牲になるわけで、文構造を一定のルールに従って一部転換することも考えた方がいいのかもしれない。)
しかしそのモンゴルからの留学生も結構偉くて、「(彼が書こうとしている個人情報保護法に関する)論文は、私だけの論文ではなく、モンゴルの(未来を担うべき)論文ですから。(チューター)よろしくお願いします。」と言ってくれている。
なんというか、「先進国から進んだ制度を取り入れ、自分の手で国を変えよう!」という志は、わが国で幕末から明治にかけて活躍した志士の気概を思い起こさせて、結構かっこいい。
僕としても、一法律学徒の努力が、モンゴルという発展段階の国家における現代的プライバシー権の確立に一役買うことができれば、これは大きな収穫だと思って頑張っているわけであった。
まあ、金もろうてるしな。
そのうち彼もモンゴルの大統領か総理大臣か経済産業大臣あたりになって、僕をファーストクラスの飛行機でかの地に招待してくれないだろうか。もちろんウランバートルの最高級ホテルのスイートルームに泊めてもらって。もちろん費用は向こう持ちで。
マジでゆめがひろがりんぐなチューター制度なのであった。
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