2007年8月4日土曜日

アヒルと鴨のコインロッカー

とりあえず前期考査期間が終了し、やっと夏休みに突入。
だが、今年はイロイロあって、夏休みの方が考査期間より忙しい。そのイロイロが何かはこれから徐々に明らかになっていくところなのだけど、しかしまあなんだ、他人の無能から生じた仕事を押し付けられるというのはあまり気分のいいものではない>報告書。

まあ気を取り直して、昨日観に行った映画『アヒルと鴨のコインロッカー』の感想でも書きますか、ほな。


この作品は、ご存知伊坂幸太郎の同名小説の映画版。
大体のあらすじとしては、「ボブ・ディランの『風に吹かれて(Blowin' in the wind)』を歌える大学生が、アパートで隣に住んでいる、こちらもボブ・ディラン好きの謎の男の提案で、そのアパートに住むブータン人のために本屋を襲って広辞苑を手に入れようとする」話。

これだけで「へぇ~、ナルホド」と思える人は、原作を読んでいなければまず居ないだろう。というかこの「ワケのワカラナさ」というのがこの映画のミソであり、そういう雰囲気を楽しむのが伊坂作品であり、この映画なのである。

濱田岳や瑛太といったキャストの演技は伊坂作品の登場人物的でなかなか良い。ただしこれは「演技がうまい」という意味ではなく(いや、濱田は結構うまいんだけど、瑛太は不自然さが残る)、伊坂作品の登場人物を演じるのに要求されているのは演技力じゃないかもね、という話。
ではそれは何かというと、よく使われる表現を借りれば「洒脱な」「不自然さ」のような属性であろう。『陽気なギャングが地球を回す』 の祥子(加藤ローサ)は結構はまり役だったのだが、それも演技力故というよりはむしろこの不自然さ由来といった感じ。(ちなみに、『陽気な~』の祥子は『アヒルと鴨~』の主人公・椎名の叔母である。という裏設定。いや、マジで。)

あと印象に残ったのは音楽、というかディランの『風に吹かれて』。その懐かし感漂うメロディー、哲学的な歌詞、劇中で「神様の声」と表現される声、どれもこれもが何故か仙台市街で起こる小さな物語にフィットしていい感じ。
お気に入りは「The answer, my friend, is blowin' in the wind. The answer is blowin' in the wind.」の箇所。「友よ、答えは風に舞っている。風に舞っているのだ。」というような。(英語ままの方が良いな。やっぱり。)
ちなみにリンク先はYouTubeの動画だが、劇中で流れる『風に~』とアクセントが違う。洋楽にはありがちなこと?

ただ残念なのは、まあ残念というよりは難点といった方がいいのだが、やはり伊坂作品の「流れの美しさ」といったものを完全には映像に乗せられなかったこと。
原作の持つ「こまめに行ったり来たり」のペース(こればかりは読んでみないとわからない)が、映画ではうまく表現できていなかった。というより、伊坂作品、特に『アヒルと鴨~』なんてのは、むしろ完全に映像化できたらそれできたヤツがクレイジーに天才なのであって、正直ここまでうまく映像かできているという点については、高く評価して良いだろう。
そういうわけで、点数をつけるとすれば82点ぐらいだろうか。毎度適当だけど。

あと、伊坂幸太郎と映画について、これからの展開。
僕の最も好きな伊坂作品『死神の精度』が遂に映画化。はっきり言ってこの作品は主演したいぐらい好きなので、今から楽しみ。ただ、映画にして面白い作品かどうかは別問題で、そこに一抹の不安が残る。
『重力ピエロ』も映画化されるそう。
あとは、サンボマスター山口隆を西島にして、『砂漠』を映画化して欲しい。
チルドレン』(映像化はされたな、しかし)や『フィッシュストーリー』も、『アヒルと鴨~』と同様のノリで映画化すれば、なんかイケそうな気がする。『フィッシュストーリー』のバンド好きなんだよねえ。

伊坂幸太郎についてはまだまだ語れるのだが、それは別の機会に。

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