2008年8月2日土曜日

スカイ・クロラ

よく名前を「yasuhiro」と間違えられて、デジャヴを感じやすく、昨日のランチなんて覚えていないキルドレ度1000%な私が、

ぽーにょぽにょぽにょ、じゃなくて公開初日の押井守監督作品、スカイ・クロラを観てきたのだ。


おそらく混雑するだろうことが予想されたので、名駅すぐ前のミッドランドスクエア・シネマではなく、名駅から南へ歩くこと15分、閑散としたささしま地区まで炎天下の名古屋を歩いていったら、やはりそれなりに空いていて中央後ろ目で見られたのが良かった。

この映画の第一印象は、とにかく綺麗な映画であるということ。特に空と飛行機と背景が。
The Sky Crawlers、すなわち空を這う者達、というタイトルなのだから、もちろん空が綺麗でなければ話にならない。この空の突き抜けた美しさは、公式サイトなり後に挙げる予告編サイトなりで確認できるが、やはりシネマで見ると一味もふた味も違う。
次に飛行機。押井監督やその他スタッフのこだわりを感じさせるデザインの美しさもさることながら、彼女らが最も輝くのはドッグファイト時だろう。特に破壊されるシーン。クライマックスで散香に穴があくシーンは鳥肌モノ
そして背景。指紋のような模様が刻まれている岩があったり、断崖絶壁が長々と続いているあたりアイルランドみたいだなと思ったら、案の定アイルランドでロケハンしていたようだし、設定上もアイルランドだとの話。ただしアイルランドはいつもあんなに晴れてないぞ(経験者は語る)
しかし背景も実写と見まがうばかりのリアルさ。あの背景であの飛行機が飛んでるシーンだけ見たら、実写映画と勘違いしても無理はないね。
押井監督作品から感じる物体の質量(感)が、本作でも(むしろ本作は特に)リアルに伝わってくる(これは音響によるところもある)

次に声。
主人公その1である草薙水素(スイト)に声を入れていたのが『バベル』でアカデミー賞ノミネートのの菊地凛子で、主人公その2の函南優一(カンナミ・ユーイチ、原作ではユーヒチ)加瀬亮、他に谷原章介、栗山千明、竹中直人ら、「なんだまたタレント声優かよ」と言われても仕方のないラインナップ。だがそれがいい

菊地凛子は、ちょうど1年ほど前にエントリを上げ、もうすぐ続編が公開されるらしいアニメーション・オムニバス映画『Genius Party』の「Baby Blue」でヒロインの声を当てており、スカイ・クロラが2作目の声優挑戦作品となるが、あの少々ハスキーがかった無機的でありながら色香を漂わせる声は健在。嫌いじゃない、というか結構好き。

タニショーはちょっとムカつくぐらい声当てがうまくて、そういえば彼も1年近く前に見た『ベクシル』で主役級の声を当ててた(主役は黒木メイサ)けど、あの時も見事に声優やってたもんなと感心。

加瀬亮ほかのキルドレ役の声は微妙に不自然な所こそあるものの、逆にその不自然さが、不自然な存在たるキルドレの魅力を際立たせていたように受け取ったし、実際押井監督ならそれぐらい意図していそうではある。

ちなみに、この「キルドレ」というのは、劇中に登場する「戦闘機に乗って闘うことを宿命付けられた大人にならない永遠の子ども」のことだが、パンフレット等で庵野秀明氏(正確には彼の知人)が指摘しているように、エヴァンゲリオンシリーズの綾波レイに似ている。
このことについて多くを語ると映画の重要な点のネタバレになるのでやめるが、とりあえず似ている。性格とかではなくて存在が、とでも言おうか。
そういえば綾波も「キルドレ(EVA風には「チルドレン」=適格者)」であった。
あと、キルドレは綾波に似ているが、水素は同じく押井監督作品『イノセンス』のガイノイドかチビ素子っぽく見えるシーンがいくつかあった。

あとは押井作品といえばこの人、川井憲次の音楽もいい。冒頭から流れるシンセ(もしかして人声?)の「アーーーーーーーーーアーーーーーーーー」って奴とか、あとはオルゴールにもなってるあの切ない曲。

この作品には、いつも辛口だけど、それでも88点ぐらいあげてもいいかなと思ったりする。

ちなみにGyaoで庵野監督らが作った予告編が見られるので、興味のある人は見てみるといいかも。
個人的には、一番空きなのが庵野版、一番作品にマッチしてないのが樋口版だと思う。

あと、押井監督はこの作品に若者へ向けた希望的メッセージを込めたらしい(庵野監督も『新劇場版ヱヴァ』で同じようなコト言ってたな)が、なんせ押井監督は鬼才であり我々と思考回路が違っていそうなので、果たしてその希望的メッセージが希望を保ちつつ若者へ届くのかは疑問がある。見方によっては鬱展開の映画と見れなくもないもんな。

まあ暑い夏に綺麗で涼しげな空とカッコいい飛行機と、切ない恋愛話でも見ようかなと思ったりする人には大いにオススメです。


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