2008年3月22日土曜日

Sweet Rain 死神の精度

ミッドランドスクエアシネマへ『Sweet Rain 死神の精度』を観に行ってまいりました。伊坂幸太郎の小説の中ではトップ3に入る作品だけに、映画化もかなり前から楽しみにしておったわけですな、これが。
公開当日ということもあってか、ポスターもらえましたが。

しかし、革張りの座席と言っても、座る分にはそんな変わらんですね、普通のシートと。

というわけで、以下感想とか。それにしても久々の映画エントリだな。


「君は死ぬことについてどう思う?」
彼の名は千葉(金城武)、職業は死神。不慮の死が運命付けられている人間が、その死に値するかどうかを見極め、「実行(原作では「可」)=死」か「見送り=生かす」かを決定するのがその仕事。
今まで何人もの死に際を見届けてきて、今日もまた、仕事を続ける・・・・。


というのが、原作・映画のストーリー。
原作の伊坂幸太郎『死神の精度』は、僕ランキングで、面白さとしては『ゴールデンスランバー』の次、深さとしてはトップに輝く、思い入れのある小説。
原作は緩やかかつしっかりと繋がった6話のオムニバス形式で、この映画はその中から「死神の精度」・「死神と藤田」・「死神対老女」の3編を映像化。
原作もこの映画も、それぞれ独立したストーリーが、最後のほうでスラッと繋がる、伊坂小説お決まりのパターンともいえる構成なのだが、しかし『(Sweet Rain)死神の精度』は一味違う。
どう違うかというのはネタバレの危険性をはらむため、ここで詳らかにはできないのだが、イメージとしては通常の伊坂小説の伏線の拾い方が「テクニカル=技術に見とれる」ものであるのに対し、「死神の精度」はそれに「ハートウォーミング」な要素も加えられている、とでも言っておこうか
まあそのへんは、観るか読むかすれば分かるはずなので、春休みに是非、本屋と映画館へ行ってみよう(文庫版も出たようだしね)
(ちなみに、タイトルやトレーラーがヤケに不気味だと思われる方もいるかもしれませんが、この映画はホラーとは対極に位置する作品です。)


「俺が仕事をすると、いつも降るんだ。」
千葉が仕事をするときは、いつも雨が降る。他の死神はそうではないらしいのだが・・・・


本作のモチーフ、主題の一つに「」というのがありまして、これほど見事に最初から最後まで雨がふりっぱなしの映画も珍しいんじゃないかと。きっと『雨に唄えば』でもここまではいかない。
しかしまあ、雨がふっているからこそ楽しみなものやそこから出てくる雰囲気もあるわけで、そのあたりの演出は上手い。パンフレットにも書いてあったが、優しい雨といったところか。
そして優しい雨といえば、サンボマスターの『青春狂騒曲』所蔵の「」という曲が、この映画とは全く関係ないところだけど、オススメ。
あと、演出の話題が出たから言っておくと、全体的な編集がちょっと下手かなあとは思った。まあそれも健全なB級映画らしくていい味を出しているのではないだろうか。ねえ。


「ミュージックが死ぬのか?」
何故か死神はみんな音楽が好き。ロックでもポップでもクラシックでも。
あなたがCDショップでずっと試聴をしている人を見かけたら、彼は死神かもしれない・・・。


そうそう、この映画の主題歌(挿入歌)『Sunny Day』は、藤木一恵という人が歌っているのだが、リンク先を見ればわかるとおり、藤木一恵=小西真奈美である。
藤木一恵は劇中の登場人物(金城武の次にクレジットされている)だから、企画としてはちょっと昔に長瀬智也=桜庭裕一郎ってやったのと同じですな。
この「Sunny Day」という曲、タイトルも思わせぶりだが、それよりなによりこの映画『死神の精度』のために作られたのではないかというぐらい(いや、実際そうなのだが)作品とマッチしている(劇中で流れる場所にも注目)
上に挙げたサンボの「雨」と両方あわせてリコメンデーション。

ちなみにアクターについては、金城武の不自然さ(アレは下手なのか、それともアレも演技のうちなのか。おそらく両方な気がするな)が千葉という死神に合っていて、千葉ファンとしては嬉しかった。
しかし、それよりもはまり役だったのが、「死神対老女」編の主人公(死神は「プロデューサー」らしい)を演じた富司純子。あのおばあさんは原作でも最後を飾るにふさわしいキャラだったが、富司純子の老女役もとても魅力的だった。
(また話がそれるが、この人は寺島しのぶの母親なんですね。へえー)

というわけで、総合点は87点ぐらい。
久しぶりに原作でも読み返すかな。

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