2008年3月18日火曜日

貴志祐介『新世界より』

一日中くしゃみをしていると体力を使う。(こんばんは)
やはり一昨日、用事で大阪へ行ったついでにたこ焼き(大たこ)、お好み焼き(風月)、ラーメン(金龍ラーメン)とか回ったのが祟ったか。風月以外ほぼ屋台だし(ちなみに全部昼食)。

こんな季節は家に引きこもって読書とネットにあけくれるに限るわけで、しかし来週末から外出の予定がたくさんあって困った。
友人に「カニの食べ放題プランがあるから行こうぜ」と言われて行くことにしたところ、開催場所が三重県の。地名からして嫌な予感。

そうだ、書評を書くんだった。


というわけで、今回のチョイスは貴志祐介『新世界より』(講談社、2008)。
新世界」であって未来人と超能力者が登場するが、ハルヒではない(必要不可欠な宇宙人は出ないしな)

一冊500ページの本が上下巻組みなので、6日間計画で読もうと思っていた(一巻に3章、全部で6章立てになっているから)のだが、ゴメン2日で読んでしまった
僕が暇だったから、というのももちろんあるわけだが、しかしそれ以上にこの作品は面白いっすわ。読ませる。貴志祐介作品は初めてだったが、チェックリストに追加すべき逸材かもしれないな。

ストーリーはこんな感じ。
結構遠いけど、それでも東京の廃墟が残っているぐらいには近い未来、世界の文明はなんだかんだの戦争で崩壊しており、ホモ・サピエンスの生き残りは、わけあってしめ縄に囲い込まれた村落でひっそりと暮らしていた。
彼らは呪力とかいう超能力を使うことができ、そのへんが文明崩壊につながったことは想像に難くないのだが、しかしまあ、強力な呪力にリミットを設けてなんとか平和に過ごしていたわけだ。
主人公ももちろん超能力者で、後に大事件を引き起こす友人達と、和風かつローテクなホグワーツ(『ハリー・ポッター』の魔法学院ね)のような場所で呪力やらなんやらの教育を受けていくのであった・・・


というのが上巻の3分の2ぐらい。上巻の中間ぐらいからあとはもうジェットコースター的にストーリーが展開して、ページをめくる指はそう簡単に泊まらない。

感想を述べるとすれば、この小説は結構グロテスク。
暴力的・破壊的な描写は、呪力なる超能力の発露との関係で多々あるし、村自体が雛見沢村的といえば分かる人には分かるのだろうか(適当に言っている。僕自身は『ひぐらし』を知らない)、人里離れた霧立ちこめる集落のような(しかもミステリアスでホラーな行事付きだ)
それほどスプラッターな描写の無い場面であるにもかかわらず、読んでいる途中に背中に視線を感じたり見えない存在がその辺をうろついているのではないかと邪推させられたりすることが結構ある。

かといって恐怖描写一辺倒なわけも無く、学園(この世界で言えば小学校~中学校だが)ライフあり、甘酸っぱい初恋の思い出あり、アドベンチャーあり、濡れ場までありといったマルチでリッチな小説なのだ(濡れ場について言えば、男*女だけではなく、ホモ(少年同士だからヤオイか)も、レズ(こっちは百合?)もあり、しかもおしなべて中学生以下。どんだけー)
登場人物もかなり多彩で、主人公達はエスパーだし、人語を解するバケネズミなる生き物も出てくるし、バケネズミも多種多様にミュータント化するし、ダークサイドに堕ちるエスパーまで登場。その他、突然変異なモンスターもゴロゴロ出現。
そのあたり、よくできたRPG並みで、貴志祐介の想像力には恐れ入る。

ストーリーもよくできたもので、数々の伏線と謎解き、次々に明らかにされる秘密など、読ませる要素に事欠かない。SFなので実現可能性を無視できる分書くのは楽かもしれないが、面白ければ関係ないね。

と、いうわけで、春先に特有の季節病に悩まされているあなた。家にこもって読書するならこういう本はオススメ。
本読んでると鼻も楽になる気がするし。
しかし不思議なことに民事訴訟法や家族法の教科書を読んでも鼻はつまったままでくしゃみは止まらんのだが。なんでだ。

1 コメント:

匿名 さんのコメント...

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