2008年2月18日月曜日

英国法の入門書を読んでみる~その1

相殺、無理して読むと。(あいさつ)

というのは置いておいて、今日はケンブリッジ大学Fellow(特別研究員)のNicholas J. McBride氏によって書かれた英国法の入門書、『Letters to a Law Student』(PEARSON Longman、2007)を読んで、その感想でも書いてみようかと思います。まだ最初2章/20章しか読んでいませんが。

ちなみに何故このような本が我が家にあるのかというと、以前アイルランド旅行へ行ったとき、ダブリンのトリニティー・カレッジ近くの下町本屋で買ったんですね。懐かしい。


内容は、もちろん全編英語で書かれていますが、対象が「anyone who is doing, or thinking about doing, a law degree at university(以下特に断りのない限り文はイタリックで引用)であり、つまりは高校~大学初頭であるので、そこまで難しい英文ではありません。
序盤の内容は、法学部とは何をする学部か、そこでは何を学ぶのか、法学部生に必要な資質は、法律の分類、イギリスにおける法源などなど、基礎の基礎的な事柄であり、後半になっても、勉強の仕方、答案の書き方等、それほど発展的なことが書いてあるわけでもないようです。

ただ、やはりイギリスで出版された本なので、ただ単に知っていることを英語で読む以上のインパクトがあるわけです。以下、それらインパクトについて。

まず、何度も述べているようにアイルランドで買ったイギリスの本ですから、英語で書かれています。しかし、我々が普通英語の時間に習うアメリカ英語(American English)ではなく、イギリス英語(Queen's Englishとでも言うんでしょう)です。
おそらく、この2つの英語は文法的(文構造的?)にも差異があるのでしょうが(American Englishのディシプリンで教育を受けた人が「Queen's English読みにくい」と言っていた覚えがあります)、幸か不幸か、その際が実感できるほど僕はAmerican Englishにさえ慣れておらず、「」レベルではその差異は分かりません。
両英語の違いが分かるのが単語のレベルであり、例えばAmerican Englishで「realize」と綴るところを「realise」としていたり、「flavor」が「flavour」になっていたりします。
綴りであればそれほど違わないのでまだマシですが、厄介なのが、単語の綴りではなく意味がAmerican Englishからは想像できないことであって、例を挙げると「note」が「お札」(5£ note が5ポンド札)の意味で使われていたりして、しかも「note」なんて「ノート」とばかり思っているため辞書も引かず、センテンスが意味不明になったりします。

また、いつも日本語のジャーゴン(専門用語)を英語でどう言うか知るのも、意外と興味深いものがあります。
「Lawful justification」というのは、おそらくは正当防衛等の違法性阻却事由のことでしょうし(責任阻却は「have excuse for」?)、「legally binding」というのは「法的拘束力のある」という意味の形容詞でしょう。
「doctrine of consideration」は「約因」とか訳すらしいですが・・・これはよく分かりませんね。

以上は表記に関する感想ですが、内容についてもいくつか思うところがあります。

まず第一に、「the courts」が、「Parliament」、「European Union」と並び、「law maker」として明記されていること。
日本の教科書であれば、立法機関は国会のみなのでしょうが、ここはさすが判例法の国というべきでしょうか。
もちろん、国会法(an Act of Parliament)と判例法が「clash(不一致)」した場合は国会法が優先するらしいので、その点日本の最高裁判例の扱いと厳密にどう違うのかといえば僕にはよく分かりませんが(実務上だけでなく、憲法で認められた立法機関だとか、そういう意味だろうか。しかしそもそもイギリスは不文憲法?)

不文憲法といえば、「Parliament power to make law」には「no limits」である、ということも驚きですね。これを日本で言ったら憲法の先生に怒られてしまうのではないでしょうか。
wikipediaによれば「不成典憲法」の方がいいんじゃないか、ということだったので、おそらく実際には実質的憲法を構成する各法律がlimitになっているのではないかと思うのですが(しかし両方とも「法律」であって上下はないか・・・)

まあ他にないこともないですが、今日はこんなところでしょうか。
まだ10分の1ほどしか読んでいないので、おそらくこのシリーズは続くと思います。

そして受験生のためにオチなく終わる。

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