沸騰都市・ドバイ
TOEFLが難しかった話も書かねばいけない気がするが、それよりもNHKスペシャル『沸騰都市』の第一回、「ドバイ 砂漠にわき出た巨大マネー」が面白かったのでレポート。
まず、
番組は、沸騰する一つの都市にカメラを据え、都市とそこで生きる人々や集団を主人公に、地球規模で始まった主役交代、新たなパワーの勃興といった新たなうねりを記録していく。(番組ウェブサイトより)というのがこのプログラムの趣旨らしいのだが、ヤバイこういうの滅茶苦茶好き。
最近、将来の選択肢の一つとして、「海外で働く」というのが自分の中であって、こういう「沸騰都市」で沸騰する多国籍な人たちと仕事をしたい!というのが目下のマイドリームなわけです。
グローバリゼーションの下、世界の主役が、巨大な力を持つ「国民国家」から、有能な人々が集まる「都市」へ移りかけている、というコンセプトにも痺れるところがあるしね。ハードパワーからソフトパワーへ、真のコスモポリスの誕生、等々、カッコいいキーワードはいくつも思いつくし。
ちなみにドバイがどう「沸騰」しているかを簡潔に述べると、要するに不動産をバシバシ開発することによって、大規模な不動産バブルが起こり、砂漠が10年にして高層ビルの林になったスゲー、ということらしい。おそらく。
それを象徴するのが来年秋に完成予定の地上160階800メートル超の世界一高いビル「ブルジュ・ドバイ」であったり、世界最大の人工島(建売住宅が並んでいる。実際に人が住んでいる不動産は6割というから、それ以外は投資目的ということになる。)であったり、2000万円の投資が数年で20億になったとか抜かすイラン人商人だったりするわけだ。
税制優遇特区を敷き、エミレーツ航空の拠点・世界最大の空港保有地でもあり、観光産業も熱いとか。
まあ、リアリストに言わせれば「終わりの来ないバブルは無い」ということなので、第二次産業も持たず、石油もかれてるドバイから投資家が金を引き上げ始めた日には、ブルジュ・ドバイも砂漠に打ち捨てられたバベルの塔みたくなるのかもしれないが。そうなる前に一度訪れてみたくはある。
とりあえず、「沸騰都市」で注目すべきところを挙げると、
1.オープニング&エンディングが押井守×川井憲次×Production I.G.
2.なんだかんだ言って、NHKの本気は民放とは比べ物にならない
3.今後のラインナップも充実
の3点だろうか。
まず第一、OP&EDが映画版攻殻グループである点について。
ヤケに凝った映像だなと思ったら、案の定というか以外というか、押井監督が相方の川井先生を引き連れて映像作ってたらしい。風の噂によると、NHKがIGに発注して、IGが押井監督を選んだのであって、NHKから押井監督にオファーが行ったわけではないようだが。
で、この映像、凄いのかと聞かれれば、そりゃ凄いのかもしれないが、なんというか、面白くない。
もちろん、ドキュメント番組はオープニングとエンディングの映像よりも、その中身が重要であるのは言うまでもないのだが、一押井ファンとしては、少々残念な映像といわざるを得ない。
というのも、まず第一に、映像に動きがなくてインパクトに欠けるというのと、第二に、建物の造形が(押井監督にしては?)普通すぎて、やはり面白みがないのである。
NHKだからそんなに奇抜なものを作るわけにもいかなかったのか、それとも押井監督もそろそろ御歳なのか(でも映画版『スカイ・クロラ』は期待してるZE!)はよく分からないが、つまるところ映像のインパクトとしては、別のNスペ「奔流中国」の方がハイレベルかなあとは思う。
で、NHKの本気が凄い、というのは、やはりこういう番組は、公営放送でそれなりに海外でも名が知れてるNHKだから作ることができる、という感じがする。
僕は大河ドラマを除けばほとんどテレビは見ないのだが、「Nスペ」や「プロジェクトX」(後番組は「プロフェッショナル」か)はしばしば見ている。
ちなみにNスペの過去の作品で好きなのは、「映像の世紀」。加古隆「パリは燃えているか」は、ドキュメンタリーにおける選曲No.1だと思っている。
そして最後、今後のラインナップについて。
第二回ロンドンは、なんと今日。ブログを書いている間に終わってしまった。
第三回はバングラディシュのダッカ。設立者にノーベル賞をもたらしたグラミン銀行と、バングラディシュの経済成長について扱うらしい。6月放送予定。
第四回はイスタンブール。イスタンブールには2回行ったことがあり、特に2回目、ブルガリア側からバスで郊外を通ってイスタンブールに至った時、その郊外地区の「沸騰」具合に驚いた記憶がある。とにかくここも不動産建築ラッシュといった感じで、高速普請中であった。車もかなり多かった。文明の十字路としての繁栄を取り戻す日は近いのかもしれない。期待age。
シリーズ後半では、ヨハネスブルク(南アフリカ)、ハノイ(ベトナム)、サンパウロ(ブラジル)、そしておそらく最終回で東京。
中国とロシアはNスペの別シリーズでやっているので、やはりBRICsにVISTAかい、といわざるを得ないが、このシリーズは、去年のGoogleを取り扱ったNスペ以来のインパクトがあるので、今後に期待。
なお、ドバイの画像は、ドバイ(wikipedia)や、このブログに載っている。ブルジュドバイたけー。
2 コメント:
こんにちは。
ドバイの迫力はすさまじいものがありますね。ブルジュ・ドバイの次ぎに計画中のアル・ブルジュは発表段階で1050m。おそらくさらに高くなるようです。
ドーハには600m、クウェートシティには1200m、ジェッダには1600mのビルが計画中です。
ドバイとしても中東の首都を目指すうえでやはりペースを上げなければというところなんでしょう。
航空会社もエミレーツはカタール航空・エティハト航空に追い上げられていて、特にエティハトとエミレーツはUAEのフラッグキャリアとしての戦いも出てきています。
高層ビルマニアの私には今回の沸騰都市はなかなかうれしいものでした。
はじめまして。コメントありがとうございます。
本当に、ドバイとそこに住む人たちの沸騰具合には驚かされました。
しかし、見るべき産業もないのにそんなに高いビルばかり建ててると、(エントリにも書きましたが)たどり着くところはやはりバベルの塔かな、なんて感じもしますが、どんなもんでしょうか。
中継貿易で「中東のシンガポール」を目指すにしても、その座を得られるのはせいぜい1都市でしょうし。
僕も高層ビルはマニアとは行かないまでも結構好きで、最近は台湾の台北101に登ってきました。香港でも、登れはしませんでしたが、IFCビルを初めとする、高くて変わったデザインのビルは印象に残っています。
そういえば以前、大成建設かどこかが「4000メートルのビルを作る」なんて言ってた気がしましたが、プレート歪みそう。
とりあえず、今後の沸騰都市も注目ですね。
コメントを投稿